全てに意図がある映画「プロメア」

映画

プロメア,観てきました. 帰り道でメモ帳が埋まりました. モチーフも色使いも,作画も演出も語りたいことが多すぎる!!!!!! 少し共有させて下さい. プロメアについての大いなるネタバレと,ジョジョのネタバレがほんのすこーし出てきます.

 

◎モチーフについて

冒頭から△が強調されていたので「これはなにかあるな…?」と思い注目していました.モチーフはフロクロ(@2r96)さんのエントリが最高に詳しいです.

映画『プロメア』の驚異的に精緻な設定とモチーフを読み解く – ほぼ不定期フロクロ新聞

映画『プロメア』を見た。とにかく熱いストーリー、目を見張る映像技術、鳥肌の止まらない演出、愛着がわくキャ ラクターたち、どこを取っても最高な映画。 みんな観よう。 特に感動が止まらないのは、 巨大なジグゾーパズルが組み上がるようにキレイに繋がっていく緻密な設定群。 というわけで、以下では設定とモチーフに焦点を当てて、具体的に『プロメア』のどのへんがスゴいのかを分析/考察する。 …

 正直私のエントリ読まなくていいからこれ読んで!!!!!!って言いたい.

ピザの○と△はエントリ読むまで気付いていなかったのでウワーーーーッ!!!!と叫びそうになりました.

軽くおさらいすると,△はプロメアとバーニッシュ,□は火消しとクレイ,○は共存とデウス博士の象徴. フロクロさんが書かれていなかったもので気になった箇所だと,リオたちバーニッシュやガロが収容された牢屋の壁でしょうか.☒を敷き詰めた模様なのですが,リオ(=バーニッシュ)とガロ(=火消し)がどちらも関わった場所だと示すように,△と□を両方使ったデザインです.

他には,リオが方舟の動力にされたとき開いたワープホールは,既に開いたワープホールの長方形に切り取られ歪な六角形をしていました.(バーニッシュたちを生贄にしたときは多数の△が浮かんでおり切り取られてはいない)

○の初出は,湖の下にあったデウス博士のラボへ続くエレベーターだったと記憶しています.今まで△と□しか出てこなかった画面にいきなり○が出てきたのでそりゃあもうおったまげました.第3勢力確定演出じゃん!?!?

□で描かれていたレンズフレアがラストシーンで○になったときは腰抜かすかと思った.徹底されている.

 

◎色について

色使いも非常に巧いプロメア. コントラスト高めバキバキな画が印象に残りますが,抑えるべきシーンはちゃんと抑えられているからこそ.最初から最後まであのコントラストだと視聴者の目がしんどく,UXを損ねてしまいます.例えばガロが洞窟に潜入したシーンは,上から環境色を重ねて全体的に暗く描かれていました.

「色のモチーフ」の話をすると,プロメアの炎はピンク紫(かっこいい色名を誰か教えて),対してガロや氷は水色で対比されていたのは明らかです.炎なのに真っ赤ではありませんでしたが,赤は警告色なので印象が強すぎるのと「プロメアという作品を表すユニークな色」としてピンク紫が採用されたのかなというのが見方.ちなみに赤が使われていたのは初出キャラクターの名前(手書き文字みたいなやつ),エレベーターの移動ライン,方舟のライトなどでしたね.

そして最後に出てきたのがの炎.緑色は自然や平和を想起させます.惑星を完全燃焼させ,物語を終結させる「熱くない炎」に相応しいのは言うまでもありません.今までピンク紫と水色が対比されてきた画面にいきなり緑が出てきたのでそりゃあもうおったまげました.計算されている.

エンドロールの背景は黄色で始まりましたね.黄色はお話の中でモチーフとして使われていない色,視聴者の目を最後まで惹きつけるためのチョイスだと踏んでいます.背景色はグラデーションしていて,最後にはプロメアを表すピンク紫で終わります.

そうそう,冒頭戦でリオが持っていた剣,ピンク紫と水色が混じっていたような気がするのですが記憶捏造してますかね…?

 

◎作画と演出について

冒頭,怒涛の戦闘描写に「おいおいおい作画持つのか!?!?」と心配になりましたがただの杞憂でした.プロメア絵のコントラストの高さは先程お伝えした通りですが,陰を最小限に,また直線ではっきり分けることで作画コストを抑えているのでしょう.プロメアが始まる前に劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデンの宣伝が流れていたのですが,あの絵柄の作画コストやばそう(こなみ).

陰で特徴的な点だと,捕らえられたバーニッシュたちがベルトコンベアに載せられて燃料にされるシーン.わざと陰影薄めに,コミカルでモチーフ的に描かれています.バーニッシュたちは「同じ人間である」と散々描写してからの,モチーフ=無機物だと強調するような演出.つらすぎて心がえぐれそうになりました.

カメラは,映画らしいカットが冒頭戦闘シーンでよく見られました.対象物に極端に寄る構図や,物をすり抜けていくカット(ハリポタ冒頭でワーナー・ブラザーズのロゴをカメラが通り抜けていくような)ですね.後半は気にならなかったので,初めに映画らしさを演出して視聴者を非日常に引き込む効果を狙っていたのだと思います.

 

◎話の構成について

プロメアの始まりは鬱憤=△=ストレスの暴走.牢屋のバーニッシュの描写から,単純な勧善懲悪ではないことは序盤に明らかになりますが,抑圧されていたストレス=△を爆発させて解消させるというのは納得の着地点でした. バーニッシュたちはちゃんと人間の逃げ道を用意した上で「炎を出し」ていた,つまり周りに気を使いつつ小出しでストレス解消していたんですね.それでもストレスが溜まるのなら緑の炎にして出し尽くしてしまえばいい.クレイはピンク紫のマグマ爆発を恐れて自ら暴走してしまいますが杞憂だったわけです.皆に相談すれば「緑の炎で解消できるよー」とか教えてくれたかもしれないのに.ほんと,あれだけ解決法を考えておきながらホウレンソウしなかったクレイェ……

中盤で暴走したリオは一見強そうに見えましたがガロに敗北します.この展開にはジョジョ5部のvsペッシ戦が頭をよぎりました.精神的に未熟だったペッシは瀕死でも戦う兄の「覚悟」を見て覚醒,ブチャラティをすんでのところまで追い詰めるも,自己満足に溺れ倒されます. 暴走したリオは「無差別に人を傷つけない」といういつもの「気高い覚悟」を失くし,自己満足に溺れた結果ガロに勝てなかったのです.

 

◎音楽について

澤野弘之氏は神

いやほんとこれで解決してしまう.澤野氏の厚みのある音楽が大変マッチしていました.

 

他にも ・堺雅人すごい ・松山ケンイチすごい ・早乙女太一めっちゃイケボ ・グレンラガンのドリルとキルラキルの星✧ ・リオかっこよすぎる とかいろいろあるんですが,アツい映画が好きな人にも,じっくり冷静に分析したい人にも自信を持って勧められる「プロメア」,まだの人はぜひ観て下さい.

追記:2020/05/28

改行が全部死んでる!?!?直しました…すいません…

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